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君を泳ぐ 4-2
合い鍵を使って家の中に入り、一直線に犀の部屋に向かう。尊が勢いよくドアを開けると、上気した顔でベッドに横たわる、Tシャツ一枚の犀の姿が目に飛び込んできた。傍らには潤滑剤とコンドームの箱が転がっている。思わずゴクリと喉が鳴った。
「犀っ……!」
駆け寄ると、次の言葉を紡ぐ前に犀の両腕が伸びてきて、舌を絡め取られた。濡れた髪からシャンプーの香りが漂って、下半身がドクンと疼いた。
「んっ…あっ……」
「ふっ、んぅっ」
久しぶりの濃厚なキスに脳が痺れる。逃がすまいとするように強く首に巻き付けられた腕がしっとりと濡れているのを感じて、ますます劣情を煽られた。
「犀……さっきはゴメン。俺、嫉妬でっんぅっ」
なんとか両腕を引き剥がして謝罪しようとした先から、再び唇を奪われた。
「早く……シて?」
潤んだ瞳に訴えられて、なけなしの理性が吹き飛んだ。
犀の唯一身に付けていたTシャツを尊が剥ぎ取ると、今度は犀が尊のTシャツの中に手を入れてそれを剥ぎ取った。視線が合って、互いに少し照れながらフッと笑う。
犀が目を伏せたのを合図に、尊は犀の上に覆い被さり、ピンクに色付いた犀の肌に口付けを落としていった。その度に「あっ」と小さな可愛らしい声を上げて震える体を、尊は両手でそっとなぞった。
「尊……尊……っ」
荒い息遣いの合間に名前を呼ばれて、タイトなジーンズの中が痛みを発した。一瞬目を開けた犀が目ざとくそれを見付けると、ソコへとその手を伸ばしてきた。
「さいっ、ちょっと待って……っ」
「早く…っ早くコレ、ちょうだい」
ヤワヤワとソコを撫でられて、今にも達してしまいそうになる。ボタンを外そうとする犀の手を遮って、尊は自ら下着ごと全て脱ぎ捨てた。
すると、いつの間にか開封したらしいゴムを、犀が器用に尊の昂ぶりにスルスルと装着した。
「さ、犀っ?!」
「あのね、いっぱい練習したの」
真っ赤になって震えながら、犀が尊の右手を自身の窄まりへと導いた。
「ちょっ……っっ!!!」
「んっ……」
戸惑う尊の指を犀が濡れそぼった中へといざなう。以前より格段に柔らかくなったソコは、尊の指2本をスルリと奥まで飲み込んだ。
「あ、んっ、指っ長、いぃ……」
自分では届かなかった場所に尊の指が届いたのか、犀が中をキュッと閉めつけて震えた。
「さ、いっ……」
ゴクリと喉が鳴る。パニックと興奮とで体が硬直してしまった尊に、犀がじれったそうに艶やかな肢体をくねらせた。
「ねっ、尊っ……はや、く……早くココ、尊の入れてっ……」
「くっそ……っ」
もう二度と犀に乱暴な事はしたくないのに、こんな風にねだられたら力任せに抱いてしまいたくなる。荒ぶる気持ちを歯を食いしばって抑えつけ、尊はゆっくりと指を引き抜き、犀の体を反転させた。
「たけ、るっ……?」
犀が不安げな声を上げる。尊はその背中に優しくキスを落とし、そっと頭を撫でた。
「初めてはこの方が楽だって言うから」
本当は“犀の顔を見ながらだと自分を抑えきれなくなりそうだ”という方が理由として大きかったのだが、精一杯のかっこつけで尊はそう告げた。
念のため潤滑剤をゴムに掛けて馴染ませる。ゴムの上からでも己の分身が今までになく熱く固くなっているのが分かった。
「犀……入れる、よ……」
尊はそう言ってヌラヌラと艶めかしく光るソコへ自身の昂ぶりを押し当てた。
「んんっ……」
ツプッと先を埋めると、予想以上にすんなりと犀はソレを飲み込んだ。“練習した”という犀の言葉が現実味を帯びて迫ってきて、全身がドクドクと脈打つような興奮を覚える。
「あっ……あっ」
柔らかな肉壁にゆっくりと分身を沈めていく。少し奥へと進む度に犀の体が嬌声を上げて震えた。
「犀、辛く、ない?」
半分程入ったところで確認すると、犀は自ら腰を押し付けるようにして首を横に振った。
「はや、くっ、全部……入れ、てっ」
「ぅあっ……」
犀の中にズブズブと根元まで飲み込まれ、吸い付くように分身が包み込まれる快感に意識を奪われそうになる。熱く柔らかく絡み付くソコが自分にしか知り得ない犀の一部だという事実が、ますます尊を興奮させた。
「……ね、全部……入っ、た?」
潤んだ瞳でこちらをチラリと覗く犀の艶っぽさに、尊の喉が再び鳴った。
「っ……入っ、た……」
「ふふ……うれ、し……」
「俺も、すっげー、嬉しい……よっ」
そう言いながら尊は犀に覆い被さって、腕を前に回した。犀の愛らしい突起と、震えて蜜を零す分身をそれぞれ指で包んで刺激すると、犀が全身を震わせた。
「やぁっ、ん!ダメッ……それ、直ぐ、イっちゃ、うぅんっ」
「いいよ……犀、イって」
「まだ、イきたくなっ、やっ、あんっ、た、尊ので、中、突いてぇっ」
「っ!……犀、締めす、ぎ……」
「だって、奥、変……っ」
「わかった、から、ちょっと……ゆるめ、て」
尊は両手で犀の腰を掴むと、半分程引き抜いてズンと奥を穿った。
「あぁっっ!」
「はぁっ……くっ」
犀が背中を反らせたのと同時に、尊にも繋がった先から突き抜けるような快感が走った。
「くっ……はっ……はぁっ…」
「あんっ、たけ、る……っける……あっ」
激しく突いてしまいたいのを我慢して、奥が緩むまで緩慢な抽挿を繰り返す。その度に名を呼びながらビクビクと震える背中がなまめかしい。たった一カ所で繋がっているだけなのに全身で犀に溺れているみたいだと思いながら、尊はその汗ばんだ肩甲骨を舌でなぞった。
「あぁっ」
「んんんっっ!」
犀は背中を仰け反らせると同時に中をギュッと締めた。尊は思わず達してしまいそうになって、犀に覆い被さった。
「犀、スピード、上げる、ぞっ……」
耳元に口を当てるようにして囁くと、犀が真っ赤な顔でコクコクと頷いた。
「あ、あっあっあっ、た、けるっ……たけるっ」
「はっはぁっ……犀っ……」
犀の濡れた背中と、汗が滴る己の腹部が擦れ合って新たな熱を生む。腰と腰がぶつかり合うバチュンバチュンという音が部屋に響いた。
犀はシーツをギュッと握り締めて尊から与えられる快楽に耐えているようだった。
「あぁぁっ、あっ、尊!」
「犀っ……あっ、も、イクッ」
「あっ……ああっ!」
犀の中に熱を放った後、そのまま尊は犀の上気したうなじにむしゃぶりついた。まだ精を放っていない犀の昂ぶりを扱くと、犀はビクビクと体を震わせながら尊の手の中で達した。
「はぁっ……はぁっ……」
「っう……はぁ……」
互いに倒れ込むようにベッドに伏して重なり合う。しばらくそうして呼吸を整えた後、尊はゆっくりと犀の中から分身を引き抜いた。
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