僕のおうちの屋根裏

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僕のおうちの屋根裏

 僕のおうちの屋根裏には人が住んでいるみたいなんです。  おうちを出て、帰って来ると物の配置が変わっていたり食べ物がなくなってたり。  不思議だなって頭を抱えていると天井から物音が聞こえてきて、鼠でもいるのかなって思ったんです。  お父さんに相談してみると、業者さんを呼んで駆除して貰おうと言いました。  そして業者さんに来て貰ったのですが鼠や他の動物は一匹もいなかったと言うことで数時間探して貰った後に帰ってしまいました。  でもその後も屋根裏から音が聞こえてきたり留守にしているのに誰かがおうちの中にいる様な気配をずっと感じいました。  警察にも相談しましたがまるで話しを聞いてくれませんでした。外から侵入して来た形跡がなかったのです。  私はずっと不思議だな、不思議だなと頭を悩ませる事となりました。   そしてある日、夜になってベッドに入って寝ようとすると偶然その人と目が合ってしまいました。  いつの間にか、天井に小さな穴が空いてて枕頭に照らされた天井の穴からこちらを覗き込んでいる目があったのです。  僕に見られてしまったせいかその目はびっくりした様に慌てて引っ込んでしまいました。  それから暫くの間、屋根裏から気配が消えてしまいました。  あれはきっと人間の目だった。そうに違いないと思いましたが確かめる術がありません。  その後屋根裏を見てみましたが人がいた様な感じではなかったのです。  やっぱり僕の勘違いだったのかなと思い、その後数日経ってそんな出来事も忘れかけていたときです。  再び天井から音が聞こえてきたのです。  僕は嬉しくなって急いで屋根裏を確認しに行きました。  でもそこには誰もいません。もしかしたら逃げてしまったのかもしれないと思い必死におうちの中を探しました。  トイレ、風呂、ソファーの下。一生懸命探しましたが中々見つかりません。  諦め掛けたとき、ふとその人だけが使っている秘密の出入り口があるのではないかと思い付きました。  見つかりました。あの人は物置の狭いスペースから出入りしていたのです。  そしてそこで待ち構えていると、その人がやってきました。  埃で汚れたその人は怯えた様な瞳で僕を見てきます。  小動物みたいで可愛いなと思いつつ僕はその人の手を握ってこう言いました。 「ずっとここに居ていいんだよ」
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