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六畳間にあがり、買ってきたものを早速テーブルに並べた。
一応、対面式キッチンやダイニングもあるが俺には不要のものだ。
麻倉文学賞を取り、小説家になったのを皮切りに広めのアパートに引っ越したのだが、マネージャーにこっちの間取りの方が良いと勧められた。
俺は六畳間があればそれだけでよかった。
たまにマネージャーが料理を作りに来てくれていたが、ここ最近連絡を取ってない。
喧嘩をした訳でもないしどうしたんだろう。
突然着信音が流れる。
藤堂 義明
高校の時からの親友だ。高卒後、警官学校に進学したが中途退学した。
今は角田組に入りヤクザ、いやチンピラをしているらしい。
マネージャーから縁を切れって言われてるけど、肩書きがそんなに大事なものなのか。
そもそも俺は義明が足を洗ってくれることを信じてるし、彼の存在は俺にとって大事なものだ。
そうそう縁を切れるものではない。俺は着信に応答した。
「おう、義明。どうした?金は貸さねーからな。まだこの前貸した金返してもらってねーんだから」
「いや、違うんだよこうじ···その様子だとお前まだ知らねぇのか··テレビ付けろや。いや、その前に玄関の鍵閉めろ!」
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