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腐敗した世界
いつだったか腐敗したこの世界と同じような夢を何度か見たことがある。
逃げ惑う人を捕まえては屍人達が群がり血肉を貪っている。そして最後にはこっちを見て笑ってるんだ。
「次はお前の番だ」
そう言われた気がしていつもそこで目を覚ます。
こんな世界になるなんて誰が予想出来たのか。
嫌な事がある度に、地球なんか滅んでしまえって願ったけどさ。実際無法地帯になった世の中は異常な程の速さで退化してったよ。
俺はこの世界の主人公なんかじゃない。
屍人に追いかけられ、人に裏切られ、殺されそうになり、食糧を奪われ、死と隣り合わせの日々だ。
もう疲れたよ。
ここで諦めたら楽になれるのかな?
ビルの屋上で地表に群がる屍人を見つめながら一つの思いが過ぎった。
屋上出入口のドアをノックする音がする。それは次第に大きく激しくなっていった。
「もう、終わりにしようぜ·····」
諦めたように俺は溜息をついた。
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