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さて、そんなことが明藍の敷地内で繰り広げられていた頃、私は以前、坂下と話し込んだ小さな公園で、坂下が呼んできてくれた明石と対面していた。
どうやら明石は私を探していたようだし、私に会わせると言えば、明石は応じるのではないかというのが優里亜や理真の予想だった。
坂下は案内だけして姿を消している。
これも予定通りだ。あとで坂下に被害が及ばないように、「花開の生徒に声をかけられた。どうしても明石くんを連れてきてほしい。明石くんが探しているのは自分だって言ってた。」とだけ説明して連れてきてもらい、さっさと立ち去るというのが元々の作戦だ。
私が立っている場所から少し離れた茂みの陰にスマホのカメラを構えて理真が待機している。
そしてこっそり坂下も合流しているはずだ。
本当に立ち去ってもらわなくていいと言ったけど、何が起こるかわからないから心配だと坂下に食い下がられて、私も理真も優里亜も渋々承諾したのだ。
「何の用だ。」
険しい顔で不機嫌さを隠そうともせず、まるで威嚇するように明石が私に言葉を投げかける。
怖いけど、ここまで来たからには、言いたいことを言ってやろうと思った。
「花開の生徒たちがあなたの振る舞いのせいで迷惑している。
私のことを探していたのかもしれないけど、他の人を巻き込むのはやめて。」
「あん?」
私の言葉にすぐさま反応し、さらに脅しをかけてこようとでも思っているのか、私の顔に自分の顔を近づけてきた。
「それから、青柳叶希くんを目の敵にして理不尽ないじめをするのもやめて。」
負けないんだから!
そんな思いをこめて、私はぐっと目に力を入れて、明石をじっと見つめた。
明石は不意をつかれたような顔をして、すっと近づけていた顔を離した。
「なんだ、やっぱりお前、あいつと知り合いだったのかよ。」
明石の表情はなかった。
さっきまであんなに威嚇するような怖い表情だったのに、何も浮かんでいない顔で私のことを見る。それはそれで不気味だ。
「知り合いかどうかはどうでもいいの。理不尽ないじめをするなって言ってるの。」
「あいつが悪いんだろ。いい子ぶりやがって、人に対して生意気な態度を取ってくるんだから。
人を小馬鹿にするような態度を取ってくるのはあいつの方だ。」
「青柳くんがいつ、そんな態度を取ったの?
あなたの受け取り方が曲がってるのよ。今からでもまっすぐに直したらどう?
とにかく、他人にいろんな形で危害を加えるのはやめて。」
私は怯まずに、冷静さを失わずに、きっぱりと言う。
「それが人に頼む態度か。」
「頼むような、お願いするようなことじゃないわ。
私は正しいことを言っているだけ。あなたは正しいことに従えばいい。」
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