【ムキッ☆男だらけの夜の大運動会】に遭遇した彼女の話~~ポロリもあるよ

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「……やばいわ」  とある夜のことだった。  お風呂から出てなんとなしに乗った体重計。  どうせ変わらないでしょうと高をくくっていた。  見通しが甘かった。  今日提出した無駄なことばかり書いてある報告書よりも甘い。  もしくはお味噌汁に出汁と間違えて砂糖を入れるくらい甘い。  それくらいに私の体重は増加していた。  壁際までよろける。 「なぜ? 私は何か悪いことをしたの? わからない、わからないわ、なんでこんなに私の体重が増えているの?」  思い当たる節はまるでない  何故ならコンビニスイーツは別腹だから私の体重には加算されていない筈だから。 「こうなったら仕方ないわ……」  私は買ってから三日で着なくなったスポーツウェアに袖を通した。 「ランニングよ!」  こうして私のダイエットが始まった。  走り始めて五分でここらへんでは一番大きな公園にたどり着く。 「た、たいしたことないわね、こ、こんな距離全然疲れすら、ないわ…」  自販機の照明が虫を集めるように、私を呼ぶ。  おいしいスポーツドリンクがあるよ? おいで、おいでと。  スポーツドリンクは太ると聞いたことがある。  だから私は抹茶ラテを選んで買った。  スイーツは別腹(以下略)――。  抹茶ラテで一息ついていると、ちらほら公園の奥へと向かう人たちが目についた。  皆スポーツウェアだ。  しかもイケメンが多かった。  これもよく聞くこと、もしくは私の周りだけで起こっている現象なのかもしれないけど。  ジョギングをして仲良くなった男女がそのままゴールインしてしまうことがあるらしい。  まさか、このイケメンたちの中に私の王子様が!?  トゥンク。   鼓動が高鳴った。  それは急な運動で起きた不整脈に違いなかった。  でも、もしかして恋の予感なのかもしれない。 「いかないと」  私はイケメンたちの後を30メートル離れてついていくことにした。  公園の奥のライブステージ併設会場は熱気に包まれていた。  そこにはよりどりみどりのイケメンたちが。  女性はいない。  今日は何かのお祭りなのだろうか。  とりあえず祈っておこう。 「神様ありがとうございます……」  早起きは三文の得ならぬ、夜遊びはイケメンパラダイスだ。  木陰から眺めていると、ライブステージに筋骨隆々で上半身裸のマッチョメンがマイク片手に現れた。 『マッスルエーンドジェントルメエエン! 今宵始まるのは数十年に一度の筋肉の祭典! メンズマッスル! 今日この場から至高のマッスルメンが決まる。筋肉の筋肉による筋肉の為の大祭典へようこそおおおお!』  うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!  イケメンたちが叫ぶ。歓喜の声が上がる。  近所の公園でこんな素晴らしいお祭りがあったなんて!  「うう、ダイエットのおかげね」  感極まって涙ぐんでいると、会場中のイケメンたちがおもむろに服を脱ぎ始めた。  すごいシックスパック……丸太のように太くたくましい腕も素敵!  だけど、本当の素敵はこれからだった。 「……え? ま、まって、そんな、こんなのって」  私の鼓動が早鐘をうつ。  これは明らかに運動のせいではなかった。  だって彼らは上だけでなく、下も脱ぎ始めたのだから。  え? え?   嘘、なにこれ、見ていいの? えぇ? だ、だめよ私、はしたないわ!  手で顔を覆って、その隙間からちらちらと眼前の光景を見る私。  し、心臓がバクバクいってる!   恋するよりも激しく、目の前のマッスルパラダイスに脈打ってる! 『安心するといいメーン! この会場は厳重な警備を敷いてある! 不審者は一人たりとも逃がさずマッチョにしてやるぜ!』  ステージのマッチョメンのマッスルポージングにイケメンマッチョたちは全裸で大喝采。 『ポリスとも連携済みさ! 安心して全てをさらけ出すんだメーン!』  おおおおおおおお!!  彼らは己が肉体の全てを見せつけるようにポージングを始めた。  恥じらいはなく、皆笑顔だった。  清々しいほどに。 「ふう……」  私は、木にもたれかかる。 「これは、夢?」 「違うぜ、現実だ」  ……木がしゃべった?  もしかしてまだお酒が抜けていないのかしら?   そうして木を見上げると、そこにはシックスパックがあった。  筋骨隆々の腕があった。  太い首があって、白い歯がきらめくマッチョが。 「あ……」 「やぁ、いけないお嬢さん。君にはお仕置きが必要だね?」  大胸襟をぴくぴくさせるマッチョに、私の胸は再び高鳴った。 「お、お仕置きって?」  彼は私の背後に回り、優しくささやいた。 「このいけない下腹部をナイスバルクに変えるお仕置きさ……」  むにむにむにむに――  大きな熱い手がわ、私の下腹を揉んでいる……。  こ、興奮するじゃない!! 「ああぁぁぁぁ! も、揉むなら胸にしてぇぇ!」
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