人生初のカンニング作戦

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今、僕は人生最大の緊張をしている。 「はじめ!」 クラスメイトは先生の合図で一斉にテスト用紙をめくり出す。 テストは、いつだって緊張するものだ。 周りの書き込む音には、いつも焦らされる。 ただ、今の緊張感はテスト自体に向けられたものではない。 僕は学ランの袖から1枚の紙を取り出す。 そう、カンニングだ。 これから、人生初のカンニングをしようとしている。 カンニングがダメなことはもちろん知っている。入学して初めてのテストを受ける前、散々注意された。僕たちの中学校のルールでは、カンニングをするとそのときのテスト全てが0点になるらしい。 でも、それはバレたらの話だ。 僕の技術を使えば、バレずにやり通せるはずだ。 早速、手のひらで隠しながらメモを見る。重要なことはほとんどメモに書いたので、スラスラと答えが埋まってきた。 ただ、メモに書いていなかった問題も出てくる。でも、こんなことはもちろん想定済みだ。マスクをずらすふりをしながら、内側を覗く。マスクは面積が大きいので、書ける量も多い。 どんどん問題を解いていくと、ある問題で行き詰まった。いつもは学校で習った問題しか出ないのに、今回に限ってことわざの問題があった。100点を目指すのに解かないわけにはいかない。どうやって解こうか。 ポケットを触るとスマホがあった。使う予定は無かったが、いざというときのために隠して持っておいたものだ。 周りを見ると、みんなテストに集中している。そして、先生の様子も探る。ラッキーなことに、何と教卓で寝ているじゃないか。このチャンスを活かさないわけにはいかない。喜んでスマホの電源を入れ、答えを調べはじめる。1問、2問…答えが埋まっていく。これで最後の1問、、!
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