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うちに帰った美沙子は宝くじを買ったことなど家族の誰にも言わなかった。
自分でも何故かはわからないが、言わなかった。
くじはその辺の滅多に使わない壁掛けポケットにグイと無造作に押し込んだ。
そのまま忘れていたが、今日また例の大型スーパーに行った時、当選発表があったらしいことを知った。
店の上に大きく
「この売り場からジャンボリーミニ宝くじ 一等5,000万円が出ました」
美沙子の胸がドキドキ波打ち始めた。
いや、待てよ。この売り場は人気の売り場でミニを買った人が私の他に何人いるのよ。
いやいや!当たるわけないわよ。そうだよね!
しばらく自問自答を繰り返したが、くじがないことには調べようがない。
後で調べてみようと思いながら帰宅したのだった。
いざ帰宅するとまた、調べないままくじはあの、ポケットにあった。
不思議なもので当選かハズレかを調べないでいると、買ったシチュエーションからか、もしかしてが増大していき、美沙子だけがひとりでドキドキしていた。
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