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『ピンクの水玉柄。黒の無地。青いチェック。グレーの無地。水色のギンガムチェック。』
佑香はそれだけ書いた紙を、希子の靴箱へと放り込んだ。何か月も見ているのだ。覚えもする。果たして希子は、色と柄の羅列が、自分の下着ルーティンを表していると気付くだろうか。靴箱を閉めるとき、佑香はどくりと心臓が動いたのを感じてほくそ笑んだ。
『いつもスマートフォンで何を見てるの?』
『うさぎさんかわいいね。』
『お腹のかゆいの、治るといいね。』
毎日毎日、佑香は紙を投げ入れた。その度に、どす黒いうねりが体の隅々まで行き渡る気がした。バレるだろうか。いや、バレないだろう。誰よりも早く登校して入れているのだ。希子が来るのは始業時間5分前だ。
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