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1週間、2週間と経ち、希子が青ざめていくのがわかった。
「最近、具合が悪そうだよ。どうしたの?」
「大丈夫?」
「う、うん。大丈夫……。」
休み時間、希子の机の周りに集まった佑香と絵里は、希子を気遣った。佑香はセーラー服のスカーフをいじりながら希子を見る。
「大丈夫じゃないんじゃない?保健室に行く?」
「うん……。あの、さ……佑香、ついてきてくれない……?」
希子は唇を引き結び、佑香の目を見つめた。ただならぬ決意を感じ取って、佑香は身震いした。もしかして。心臓が早鐘を打つ。ぞわりと鳥肌が立った。
「い、いいよ。」
「いってらっしゃい。先生に言っておくから。」
絵里は心配そうに眉尻を下げ、2人を見送った。希子と共に廊下を歩く。廊下に点在する生徒たちは、当然のように佑香の緊張感など知る由もなく騒いでいる。希子はそっと口を開こうとした。喉から出る言葉は、あるいは腹から出る言葉はどのような響きを持っているだろう。佑香は喉が渇いて、今すぐ水を飲みたいと思った。砂漠に取り残された遭難者のように。
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