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「希子の家行くんだけどさ、佑香ちゃんも行く?」
「え……え?」
4月下旬、クラス内のグループ構成が決定しかけた頃だった。絵里が淡々と帰る準備をする佑香に声をかけた。佑香は面食らって、絵里が発した言葉を理解できなかった。
「えーと、希子の家にね、遊びにいくの。佑香ちゃんもどうかなって。」
意味を飲み込んで、ますます驚いた。なぜ自分を。3年生になって、一応友達と呼べる子とは別々になってしまった。クラスの女子のグループは、大方4つに分かれた。佑香はいずれにも属していなかった。
部活動に所属しておらず、口下手な佑香が友達をつくるのは至難の業だ。幼馴染である芹奈も、1年生の2月を最後に、佑香を徹底的に無視するようになった。芹奈が所属するグループに入ることは不可能だ。ただ、と佑香は思う。無視されるだけであればむしろありがたい部類だった。
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