ピーピング・トマサ

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 絵里と希子は、古くからの家が立ち並ぶ住宅街に入るまで、美術部で手掛けている油絵の話をしていた。どうやら希子をモデルに、絵里が描いているらしかった。  希子の家は、紺青の瓦屋根が乗った漆喰の一軒家だった。窓や換気口の脇がやや黒ずんでいる。 「あー、いらっしゃい。」  リビングでテレビを観ていた希子の母親に、軽く頭を下げながら2階へ向かった。佑香は既に足が重たかった。道中でも会話らしい会話を交わせなかったのに、密室で楽しい時間を過ごせるとは到底思えなかったからだ。 「絵里はうちに来たの2回目だよね。」 「そうだねー、希子がうちん家に来ることのほうが多いもんね。」 「佑香ちゃん、急に誘ってごめんね。飲み物何がいい?お茶とオレンジジュースがあるはずなんだけど。」 「ううん、誘ってくれてありがとう。飲み物は……お茶で。」  希子は頷いて、下へと降りていった。絵里もトイレに行くと言ってついていく。
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