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佑香は入り口付近にある籐のタンスへ目をやった。布団カバーはオレンジ、カーペットは黄緑の葉っぱ柄、絵画ポスターに描かれたライオンもカラフル、なのにタンスだけテイストが違う。おそらく家族や親戚からお下がりとしてもらって、使わざるを得ないのだ。
じろじろと部屋を観察しているうち、何かが欠けていることに気が付いた。ボブカットにした頭に手をやって考える。違和感がある。そうだ、窓にレースカーテンがかかっていない。希子の部屋の窓は、赤や黄、水色や緑の水玉が白地に散乱する、これまた派手なカーテンが端に寄せてあるだけだ。電柱や向かいの家の屋根がありありと映し出されており、佑香は目を疑った。
ベッドに乗るわけにはいかないので、近くまで寄って窓の外を眺める。呆れるほどいい天気だ。3軒分ほど離れた場所に、マンションがある。もしかしたら、と佑香は考えた。
あそこのマンションの屋上から見たら、この部屋丸見えじゃない?
「お待たせ!お茶とオレンジジュース持ってきた!座ってていいのに。」
希子がトレイにコップ2つと菓子盆を載せて入ってきた。絵里も後ろにいる。佑香は慌てて「ありがとう。」と呟きその場に座り込んだ。
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