ピーピング・トマサ

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 希子の家から帰った佑香は、自室の窓から隣の家の窓をぼおっと眺めていた。遮光カーテンの隙間から、わずかに明かりが漏れている。このカーテンが開くことはない。朝も昼も、夜も。ずっと。永遠に。 「気持ち悪い。一生口ききたくない。」  芹奈の嫌悪に歪んだ顔を、今でも鮮明に思い出すことができる。あのときの手足の震えも、心臓の脈打ちも、背中を伝う冷や汗も、忘れることはない。  芹奈と佑香は幼馴染だった。まだ言葉も話せないうちから一緒に育った。芹奈は佑香にとって頼もしい存在だった。小学1年生のとき、上級生にからかわれた佑香のために、芹奈は食ってかかった。 「うるさいうるさい!あんた佑香のこと何にも知らないくせに!」
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