ピーピング・トマサ

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 佑香が芹奈を特別に想い始めたのは、小学6年生の頃だった。修学旅行で、温泉に入ろうと脱衣所で服を脱ぐ芹奈を見て、佑香は痛いほど心臓が鳴るのを感じた。  裸は何度も見たことがあるはずだった。小さい頃、風呂に一緒に浸かった回数は数えきれない。それなのに。佑香は芹奈の胸の小さなふくらみから、目を離すことができなかった。  修学旅行から戻った後、佑香は妹と部屋を交換してほしいと提案した。妹の部屋は佑香の部屋より小さかったので、二つ返事で受け入れられた。そして度々、薄いレースカーテン越しに芹奈の部屋を覗き込んだ。朝起きた時、夕食前、就寝前。着替える芹奈、踊る芹奈、ストレッチをする芹奈。芹奈はカーテンを閉め忘れることが多々あったから、覗くのはたやすかった。誰も知らない芹奈に出会う度に、佑香は興奮を抑えられなかった。そしていつも、神のごとき万能感に包まれた。
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