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ただ、同時にその結果は、同居人である獣人の習慣に対し、いかにわたしが無知であったかを示すものでもあった。
ああ。これは帰ったらわたしも謝らなきゃ。
10分ほど間を置いてやって来たモノレールに揺られながら、そう思わずにはいられなかった。
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さて。一体どんな顔で入って行けばいいのか。
ドアノブを手に掛けた途端、昨夜の記憶とともに不安が一挙に押し寄せてきた。
逃げ出したい衝動に駆られそうになりながら、故郷の雰囲気を思い出す。
河都より遥か北、冷たく澄んで閉ざされた空気。
もう嫌だ。二度と戻りたくない。またぐちゃぐちゃになりかけた頭を振り払いながら、ドアを開けて玄関に入った。
ただいま。帰りました。
帰宅したときの挨拶など久しぶりだと思いながら、声を発した。
ルームシェアを始めてからも、出来る限り顔を合わせないような生活を送ってきたのだ。
そう考えれば、得体の知れない同居人の人となりを知り、少しでも親睦を深めたいと考えたであろう柴本氏は真っ当だったのではなかろうか。
その結果導き出されたのが風呂への乱入というのは、かなり思い切った選択だったと思うが。
とにかく、わたしの落ち度はかなり大きい。被害者面などしている場合ではない。謝らなければ。さてどう切り出そうかと考えていると
「あ。おかえりなさい、ませ」
知り合ってからの言動とは想像も付かないほどしおらしい、柴本氏の声が聞こえてきた。
キッチンから漂うカレーの香りを嗅ぐうちに、つい今まで感じていたモヤモヤが全て、どうでも良いもののように思えてきた。
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