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バーグの木馬作戦
「その通り。そこが問題でもある。AIを開発したのは、俺の彼女でロスアラモスの研究所で働いている。いわば俺の人質なんだよ。
本人は喜んで働いているがね」
「う〜ん、困った問題だな」
礼元は急に険しい顔をして、考え込んてしまった。するとバーグは、
「こっちの問題は後回しにしよう。
まず荘一郎の家族の解放からだ。その後は、こっちはこっちで、アメリカと交渉するさ。
日本政府よりは少しはマシだと思えるからな」
ウンウンと頷く礼元は、
「では、君の作戦で行こう。こっちが動けば、向こうも動く。雄太達が国の為に働く事に、
生き甲斐を感じてしまう前にな」
と言った。私の引っ掛かりの1つを礼元は言った。彼らは自由になりたいのだろうか?
と言う、根本的な問題だ。
そして、礼元と荘一郎さんの協定は、私の想像するところ、とても嫌な事だと思えたのだ。
私は水谷一家を、日本政府にも礼元にも渡したくないと、真剣に思ってしまった。
彼らは一体、どう思っているのだろうか。
私は彼らに会いたかった。そして、話がしたかった。誰の監視も無い平和な場所。
そう、あのクランクアップの様な所で。
それから何処をどうやったのか、礼元は高平に電話をしていた。どうして知っている?
と聞くと。君の使っている携帯にも、見知らぬ番号が入っているよ、と言われた。
慌てて確かめると、本当にあった。
名前にはTとだけあった。
どうやって?と私が驚いていると。
礼元は平然と、
「国と戦うとは、こう言う事だ。電話会社も
全て彼らの掌中にあるのだ。
だが、考えようによっては、敵国からの傍受やハッキングの心配を、一切しないでいいので。守られてると言える」
と言った。
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