第9章・ロスアラモスに始まり・・・

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「私は急ぎバーグに会いたいのだが。 既に礼元が来ているらしい。この店に寄った様だ2、3日前に」 と真剣な顔で佐藤に言うと。佐藤は、 「もう礼元は、2日前からロスアラモスに現れてます。まだバーグとは話してないようですが。彼のハンバーガー屋で良く買っては、食ってますよ」 えっ?!堺田はおかしな事を、佐藤が言ったと認識してしまった。彼のハンバーガー屋? 「おい!バーグは、ハンバーガーを売っているのか?」  素直に聞こえた通りの意味で聞くと。 佐藤は運ばれて来たタコスを畳むと、口に入れ頷いた。  堺田は何だか狐につままれた気分だったが、自分の魚料理を口に含むと、マルガリータを飲んで流し込んだ。そして、ニヤニヤしながら。 「バーグらしい。あの男、本当食えない男だ。だが急いだ方が良いのでは? 私は服も買いたいぐらいだ、暑いのでな。 そうだ、私が買い物をしている間、腹ごしらえをしてくれ」 と立ち上がると。 「堺田さん、あっちは涼しいです。むしろ、夜は寒いくらいだ」 と言われて、静かに座った。佐藤は更に、 「ここから160キロ先にあるんです。 まあ、アメリカの大きさからすれば、大した距離じゃないが。歩いて行ける訳じゃないので。列車は朝と夕に集中しているので、車を調達しました。それで行きましょう。 私、朝から何も食ってないもので、もう少し食わしてください」 と言った。 「160キロ先か。時速100キロで1時間半か、焦っても仕方がないな。ところで、礼元は彼を何故、捕まえない?」 佐藤は2つ目のタコスを食べながら。 「我々が接触するのを待っているんでしょう、多分。他の組織も動いてます、北と中国、ロシアは特に情報集めのみですね。 まあ、時が来れば暗殺すりゃいいぐらいにしか、思っていないのでしょう。 アメリカもロシアを抑えていますからね」 「そうか、何とも薄氷を踏むが如くだな」 「ええ、全て我々、いや、あなた待ちの状態ですよ。真打ちはゆっくり登場しましょう。 今、公園のレイアウトから、メンバーの配置を決めてますから」 「おい、銃撃戦になるのか?!」 「分かりませんが、相手にとって暗殺。 バーグかあなたを殺せば、全て片が付きますから。尤も核兵器を造れる男。北も中国も欲しいかも知れませんね」 「成程‥‥‥」 堺田はマルガリータを飲み干した。すると店主が、 「お代りいるかい?」 と聞いてきたので、 「頼む。それとタコス1人前」 と言った。佐藤はニヤニヤして、 「そう、腹が減っては戦はできませんからね。 たらふく食っておきましょう」 と言った。堺田は少し緊張気味で、苦笑いを返した。
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