始まり

2/9
前へ
/209ページ
次へ
陽子ちゃん、まあ陽子とは男女の関係になり、お付き合いさせてもらっているが。 金を貸してと頼むほど、俺は生活費のかからない男なのだ。 携帯はとうに止まっているが、特に困らない。ネットの通信料は陽子ちゃんが、立て替えてくれている。殆んど通い妻状態。 俺の机の上に置いてある請求書を見て、払えるものは、払ってくれている。 俺もそれに甘えている状態だ。そう言う生活に慣れていた、と言うのもあるのだが。 大泉は小説を書け、を時々言うが。この御時世と俺の才能では、売れる気が全くしない。 下手すりゃ、出してやると言う、大泉の出版社を潰す恐れすらある。それも困ったことだ。 八方塞がりなのに俺は余裕をこいていた。 何を考えているのかと聞かれれば。 俺が金が無くなり、古本屋が出来なくなったら、国が何とかしてくれるかもと、思っていたのも事実だ。それとも親父がか? 俺は本当に目的の無い、自堕落な人生を送っていた。 世の中に呆れ失望していたのも、事実だったのだが。
/209ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加