始まり

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思い出した!この人は?! 高平なぎさ、内閣調査室の部長!! 何てこった! 俺は血の気が引いたが、八方塞がりの俺の人生を壊すこの人に、僅かにワクワクしていたのも事実だった。 「連れに来た?俺を捕まえるのか?」 俺の言葉に高平は、ニヤニヤ笑いながら本棚を眺めた。俺は、まどろっこしいなとも思ったが。久々のトラブルに、ちょっとミステリー作家の癖が出てしまい、相手の行動に乗っかってしまった。 「何かお探しで、当店では格安で、目玉商品が御座いますよ」 と言った。 目玉商品とは、本には似つかわしくない、例えだなと思った。高平は、 「まず、世界情勢をどう思う?」 こっちを見ずに本を物色しながら言った。 参ったな世界情勢とは、気にしたことも無い。生活で一杯一杯。 俺にとって世界とは、小さなこの街だけだ。 「不景気ですね、うちも売れなくて困ってますよ、どうしたもんか」 と小さな世界の話をした。 すると振り向き、カッ!と怒ったような顔を 一瞬したが。ニヤリと顔を作り、 「もう、その心配は無いわ。この店、国の所有物だから。あなたはそうね、公務員かな? あはは」 「えっ?!」 俺は思わず声を出した。
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