転章1 ホットコーヒー

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正直、びっくりした。 ここに来るとは思ってなかったから。 だって初心者には絶対見つからないスポットだし 「一杯、いかがですか?」 そう言いながら俺の前にホットコーヒーを置いてくれる。 「なんで?」 俺と対面の椅子に座るメイドに思ったことを口にした。 「王子がお疲れのご様子でしたので」 え?じゃあ俺が唸ってるところ見られてた…? そう思うとすごく恥ずかしくなってくる。 誰もいないと思ってたから余計恥ずかしっ 「私も少し休憩します。」 そう言いながらもう片方のカップを持ちながらのびをしている。 この人、ほんと、何? 髪サラサラだし、礼儀正しいし、なんかいてくれると落ち着くし! いや別に褒め言葉じゃないしっっ/// 俺が言いたいのは!絶対庶民の出じゃないでしょってこと!/// 「あの!その法律の覚え方、教えましょうか?」 俺のノートに指をさす。 はあ?法律の覚え方?? 俺が目を瞬かせていると、「えっと、」とメイドが続ける。 「私みたいな人が言うことをまともにする必要はありません。ですが、少しのアドバイスとして言わせてもらいます。」 メイドはそこで一息ついて、たんたんと話していく。 「王子は国王になったとき、法律を変えることが可能です。必ずしも変えなければならないというのはありません。ですが、今の法律が正しいとは限らない。その上で、今の法律を理解する意味で一度全部よんで、その後今の法律がいいのかどうかこの国と照らし合わせて何度も読み返すと、自分が将来どういう国にしていきたいのかということが分かりますし、法律もきっと覚えられると思いますよ。」 言葉が出なかった。 どう考えても、このメイドはなにか違う。 さっきメイドが言ったことが証拠の1つだ。 庶民で、メイド学校に通わずにメイドになった人が、これだけのことをスラスラと話せるものか。 そう思いながら俺は冷たくなってしまったホットコーヒーを一口飲んだ。
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