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プロローグ
〝どこか欠落を抱えた者たちが……〟で始まる奇妙な本がある。
中綴じで背中を製本テープでピッと伸ばし、どこか気取った風采がある。一目でわかる手作りだ。
どうも何人かの生徒たちが作った私的な卒業文集のようなものらしい。
〝白方学園〟と呼ばれる、ある中高一貫校の図書室にある。おそらくこの学園の生徒の手に成るものだろう。
序文(らしきもの)の一部をもう少し抜粋してみよう。
〝どこか欠落を抱えた者たちが、ここに集まってきた。私たちは自らの意志でここに来た。僕、君、私たち、あなたがた。なくした何かの欠片は見つかっただろうか? 空白は埋まった? プツンと切れてしまった糸を、もう一回結び直して……〟
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