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アキは茶を啜りながら一に話しかけた。
「今日、夢を見た。」
嫌な気持ちのまま言った所為で、それは一にも伝わったようだ。
「どんな夢だ?」
一は顔をしかめてそう聞いた。
「…誰だかわからないけど、俺の身近な人が遠くに消えた。」
アキは重い口調のまま答えた。消えた人がどうしても大切な人だったような気がして。
「お前が夢のことを私に言うとはな。…中学以来だったか?まぁ、それが変わる可能性は0では無いし、どうでもいいことかもしれないだろう?だから、ただの予知にそこまで神経質になるんじゃない。」
気休めで言われたものだと理解はしていたが、それを通り越してアキは相談してよかったと思う。アキがそれを望んでいたからかもしれない。
しかし加えて一は言う。
「しかし、いつもならお前も寝てる時間だから何もないはずなんだがな。近くお前に何かある可能性は高いだろうな。気は抜くんじゃないぞ?」
一の言葉にアキは笑って言った。
「安心させておいてそりゃ無いだろ。」
言ってからアキは自分の笑みが苦笑いである事に気付いた。
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