スノーホワイト

12/41
前へ
/42ページ
次へ
ある晩、私が読書に夢中になっていると、外ではいつのまにか雪が降りだしていました。ふと窓の外を見ると、とんでもない光景が目に入りました。私は大急ぎで階下へ駆け降り、裏庭に出ました。 楡の木の下で、ヴィンセントが雪に埋もれていました。体はほとんど雪に覆われ、足首まで沈むくらいの雪が積もっていました。 後から考えると、一瞬見ただけでほとんど同化していると言っていいそれを発見できたのは奇跡的なことでしたが、私はそのとき、自分の不注意さにショックを受けました。 雪が降っていたことに何でもっと早く気がつかなかったのだろう。彼がよくここで寝ていたことは知っていたのに。 私は今度こそ彼は死んでしまったと思いましたが、驚くべきことに、脈は正常にありました。 蒼白い顔をして、こんなに雪を積もらせているにも関わらず。 安堵が悲しみを消したとき、喜びではなく、前々から薄々感じていたことですが、あえて今まで考えようとしなかったことが、急にはっきりと輪郭をあらわしました。 ヴィンセントは魔女かもしれない。 思えばおかしいと思うことは色々あったのです。 彼には神に対する畏敬が欠けていましたし、一度生き返りました。私が声に出していない言葉さえ聞いたり返事をすることもありました。 挙げ句には、雪の中でも平然と眠っているのです。 私は彼が今までどうやって生きてきたのかもよく分かりません。 魔女は女とは限りませんし、彼が男かどうかだって怪しいものです。男っぽい女だと言ってしまっても無理はありませんでしたし、本当に魔力を持った者なら、声や外観など自在に変えられるからです。 だとしたら、私は一杯食わされた。 私はすぐに確かめなかればと思いました。 私は彼の体の雪を払い、暖炉のある私の部屋に寝かせ、体が温まるように火を強くしました。 どちらにしろ、死なれてしまっては困ります。 私は以前、魔女の体には悪魔のつけた印があると読んだことがありました。それは、私が嫌う魔女狩りの教本に載っていたことでしたが、それが私の知っている一番手っ取り早い方法でした。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加