スノーホワイト

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雪は明け方には止み、翌朝は昨夜の大雪が嘘のようなひさびさの晴天になりました。日差しが暖かく、この分ならこの日のうちにだいぶ雪は溶けそうでした。 私は太もも近くまで積もった雪を掻き分け、正面の礼拝堂からではなく、裏口から教会に戻りました。 私は一晩考えたすえ、自分は最後まで責任をとらなければならないと思いました。 もし、ヴィンセントが魔女で私を取り殺そうとしているなら、それでも構わないし、彼が助けを必要としているなら、私には彼を助ける義務があります。彼が私の悪行に気づき、訴えられたとしても、それは私にとって当然の報いなのです。 私の部屋のドアは開いていて、暖炉には昨日の燃えかすはなく、ベッドは整えてありました。 ヴィンセントはいません。 私は天井から雨漏りしているのに気づきました。 でも、おかしいのです。ここは一階です。真上の書斎を見ると、やはり同じ所から雨漏りしていました。 この部屋の上は、ヴィンセントの屋根裏でした。 私は何事か確かめるべく階段を登りました。 しかし、あと数歩という所で、私の脳裏に昨日の出来事が鮮明に映し出されました。私はそれ以上進むことができませんでした。私は一体どんな顔をして彼と会うというのか。私は再びそこに居られる力をなくしました。 そのとき、澄みきった朝の空気にあの声が響きました。 「おはよう、エド」 ヴィンセントは階段の上から屈託のない笑みを投げかけました。 「おはよう。──ヴィンセント」 私は微笑み返すことができませんでした。 「昨日、なんで俺は君の部屋で寝てたんだ?」 彼は何気ない様子で聞いてきました。 「あなたは雪の中に埋まっていたんです。屋根裏に暖炉はありませんから、私の部屋に運びました」 私はうまく動揺を隠しました。 「ボタンが掛け違えてあったんだが……」 しまった! 私の心臓は跳ね上がりました。 「どうせ服を乾かすなら洗っといてくれよ。ところで、何か用か?」 私はほっと胸をなで下ろし、雨漏りのことを思い出すのに少し時間がかかりました。 「屋根裏から雨漏りしてるみたいなんです」 「ああ、そのことか」 彼はそう言うと、私を屋根裏に促しました。
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