スノーホワイト

1/41
前へ
/42ページ
次へ
私は罪深い男です。 もし、私が神父でなければ、今すぐ懺悔室で洗いざらい懺悔したかったでしょう。 しかし、懺悔室に座るのは私一人です。 本来なら私は死んで償うべきなのでしょう。 私が神に生涯を捧げると決意したのは、十九の時です。 私の家は名門の貴族で、私は後継ぎとして育てられていたので、そのすべてを捨て、説教師になりたいと告げたときには、両親は猛反対しました。私はそれでも信念を貫き通し、ついに夢を叶えました。 しかし、理想と現実は違っていたのです。 私の見たこの十三世紀のヨーロッパには、もはや聖職者と呼べるような者は誰一人なく、キリスト教徒にキリストの心を持つ者はありませんでした。 教会は金を儲けることばかり考え、私腹を肥やし、修道女をたらしこみ、懺悔室は何をしてもいい密室でした。そして、修道院は自らの権威を示すために、魔女狩り、異端狩りを強化しました。 私はこのような殺戮を嫌います。 たとえ間違いを正すためであっても、嫌がる者に無理やり信仰を押しつけることはできません。もし、神の名を語って人を殺したならば、それはその血をもって、自らの剣で神を汚したということなのです。 血で宗教が守られるなど、あってはならないことです。万が一あるとすれば、それは自分の血をもってのみです。 私は都市の教会に失望しました。そうして私は、神聖ローマ帝国北辺の小さな村の神父におさまったのです。私はそこで、単調ながら平和な日々を取り戻しました。 この村には清貧な民が住んでいます。村では私はつねに尊敬され、領主様からは清廉潔白な聖者であるとお褒めに預かりました。 しかし、私は清廉でもなければ潔白でもないのです。これは謙遜ではありません。 私には、人には言えない忌まわしい悪習があったのです。
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加