第一章 鷹山高校

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ここ、鷹山高校は俺の出身中学である朝比奈中学校からすれば、行くなんてありえないと白い目で見られるほどランクの低い高校だった。 一般生徒半分、不良生徒半分ぐらいの決して自慢の出来る高校ではない。 京介が俺がここに来たことを不思議がるのも無理はない。 実際、こんな高校を選ばなくたってもっと真面目で適当なランクの高校はいくらでもあったし、行こうと思えばどこへでも行けた。 それでも、俺は態々この少し荒れた高校へとやってきた。 それは、親に対する反抗以外の何者でもない。 地元から離れ、親に反抗するには丁度いいところがここだったのだ。 ここを受験するに当たり、親とはどれだけ喧嘩したか分からない。 結果的には親が勝手にしろと(さじ)を投げたことによって俺はここへの入学が決まった。 それだけ反対をしていたにもかかわらず、通うのが大変だからと一人暮らしを申し出た俺に資金の援助があるのはバイトが校則違反だからだ。 ルールを守ることに対して厳しい両親がバイトを許すはずがなく、その援助を甘んじて受けることとなった。 それに未成年の労働時間には制限があり、学業と両立させながら生活費を全て(まかな)えるほど稼ぐのは限度がある。 実際は完全に独り立ちをしたいところだが、まだまだ子供の俺には親の援助無しでは生活することは難しいのが現実だ。 「体育館に移動するから、1番からついてくるように。」 一通り話を終え、隣の教室の生徒が全員出たのを確認して、担任が出席番号1番の人を先頭に誘導していく。 俺らはそれに習って列を成してぞろぞろとついていき、会場である体育館へと向かった。 体育館へとくれば後ろ半分は保護者席となっており、沢山の保護者が俺達の入場を見守っていた。 軽く見渡した中に俺の両親は見当たらなかったが、母親はきっとどこかにいるだろう。 確認はしていないが、父親は絶対に来ていない。 俺が覚えている中で、こういう行事に父親が参加していたことは一度もない。 いつも馬鹿の一つ覚えのように仕事が忙しいという。 それに俺は期待をしたこともないし、来て欲しいと思ったこともない。 着席後、俺達は面白くもないただ退屈な入学式を受け、眠気を誘われるような校長の長い話を終えれば、教室に戻って明日以降の話を簡単に聞く。 お昼には全てを終え、各々保護者と合流したりしながら帰宅していく中、俺は1人帰宅の準備を進めていた。
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