第一章 鷹山高校

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服を脱ぎ捨てた勢いでそのままシャワーを浴び、さっさと寝る支度を済ませてベッドへと潜り込む。 夜更かしをすることはあっても、このような時間まで外で遊んだことは初めてだった。 初めての環境、初めての人、初めての場所、初めてのこと。 それらに俺は疲労困憊(こんぱい)であり、友達といてアドレナリンが出ていたのか遊んでいる間は感じなかった疲労が一気に押し寄せる。 洗濯は一人分であり、高が知れている。溜まってからでいいだろう。 眠気は直ぐに押し寄せ、意識は落ちていく。 翌日俺はアラームが鳴るよりも先に外の明るさによって目を覚ました。 窓際に沿うようにベッドを置いたのだが、どうやら昨夜はカーテンを閉めるのを忘れたらしい。 新月で外が真っ暗だったこともあり、疲れていてそこまで気が回っていなかった。 太陽の角度は緩いが日によっては日中は汗ばむぐらいの季節になってきた朝日は、目覚めさせるには十分な明るさだった。 もう10分もすれば起床のアラームが鳴るので、俺は二度寝を諦めて体を起こす。 冷蔵庫に作っていたお茶を()みながら、俺は朝ごはんがないことに気づいた。 本来ならば入学式が終わった足で食材を買いに行こうと思っていたのを忘れていた。 京介の出会いと誘いは想定外のことであり、用事を忘れてしまうぐらいには刺激的だった。 結果的に早く目覚めたのは良かったのかもしれない。 俺は学校に行く支度を早めに済ませ、自転車に乗って学校とは反対側に向かう。 この家の1つ不便なことと言えば、通学路にコンビニがないことぐらいだろうか。 近すぎるところに住んでいるせいではあるが、学校とは反対に向かわなければならないというのもなかなか面倒である。 俺は朝ごはんとついでにお昼ご飯も近所のコンビニで調達し、そのまま自転車で登校した。 自転車通学の範囲外だが、この学校なら態々確認をすることはないだろう。 昨日駐輪場に行った際に軽く見渡したが、通学許可のシールを貼っていない自転車はそれなりにあった。 守っていない人物がいる証拠だった。 だから今日もそうだろうと高をくくり坂を上って1年生の駐輪場へくれば、案の定俺と同じようにシールを貼っていない自転車が止めてある。 だから俺もそれに習って駐車し、少し早いが教室へと上った。
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