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 次の日、恰幅の良い、偉そうな人が、みこしのようなものに乗ってやってきました。しょっている人たちは皆あつそうです。首筋には汗が光っています。すると彼らは急に、私の前でみこし擬きを下ろしました。そうしたら、お偉いさんは汗を大儀そうに拭うと、 「これか」と、隣にいた従者の様な人に話しかけました。その従者をよく見ると、昨の旅人ではないですか!私は驚きました。  さて、旅人はお偉いさんの言葉に頷きました。 「左様で。これが悪魔の木であります、シャラヴィデス王」何と、あの地位の高そうな人は王であったとは!シャラヴィデス王(以下、王)は蓄えた脂肪を揺らしながら頷きました。  ですが、私は其の時、むずむずして二人の会話を聞いていました。だって、悪魔の木と言われたのですから。とても癪に障ります。なんでしょう、なんて倫理観のない人なンでしょう。私は遂に我慢できなくなって、 「非道いよ」と声をあげました。すると王は目をうんと見開きました。そして旅人の方を向きました。 「なんと、この木が本当に喋るとは。マンドラゴラの事は吾ももちろん知っていたが。これは珍しい。者共、これを切って、吾が城へ持ち帰るのだ!」  すると担いでいた人達が、一斉に私めがけて切りかかってくるではないですか!必死の抵抗も叶わず、遂に私は切られてしまいました。  そして其の時落ちた身も、一つ残らず、持ち帰られてしまいました。  あれからどの位の月日がたったでしょうか。私は王の温室に飾られています。そして身はショーケースの中に厳重に展示されているらしいです。私は未だ死んでいません。それが何故かは分かりません。ですが、これだけは確かです。お爺さんの所に居たときと、王の所に居る今のどちらが快適かということです。勿論、王の所に居たほうが快適です。だって、暖かい所にいれるし、王が毎日、面白い話を聞かせてくれるンですもの。  シャラヴィデス王、万歳!
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