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「本部はこのビルの地下にある。」
先輩はビルに入ってすぐのエレベーターのボタンを押す。
チーン
ベルが鳴りガタガタと鳴るごく一般的なエレベーターのドアが開くと、扉の先には不釣り合いなほど綺麗なエレベーターがあった。中に入りたった一つだけのボタンを押し、扉が閉まってから5秒ほど経つと再び扉が開いた。
私はその光景を見ると空いた口が塞がらなかった。なんて言ったって地下にこれほどの空間があるとは思ってもいなかったから。
白く清潔感のある壁に、開放感を感じさせる5mほどはある高い天井。地上の壁の外の廃れた街とは反対に近未来的な光景が広がっていた。
「レオさん、お疲れ様です!」
「お疲れ様です!」
先輩に気がつくと多くの人が挨拶をしている。先輩はそれらには答えずにそのまま通り過ぎて、受付のようなところへ行き尋ねた。
「司令官のところへ報告へ行きたい。」
「かしこまりました。少々お待ちください。」
受付の女の人はそう言うと司令官と思われる人のところへ電話をかけた。
「お待たせいたしました。『忙しいから要件は5分で済ませろ。』とのことです。」
「チッ」
先輩はその言葉を聞くと小さく舌打ちをして、受付を離れ先ほどのエレベーターの方へ向かった。さっきは気が付かなかったが、私たちが乗ってきたエレベーターのとこにはそれぞれ左右に1つずつ別のエレベーターがある。そして先輩は右のエレベーターを選び乗り込んだ。
このエレベーターにはボタンが7つあり、先輩は一番下のボタンを押す。
「1階はエントランス、2階は食堂とラウンジ、3階は病棟、4階と5階は隊員の寮。そしてここ7階は司令室だ。」
先輩が説明している間にエレベーターは地下7階へと到着した。7階は1階とは打って変わって重々しい雰囲気の大きな扉が廊下の奥に1枚あるだけだ。コツコツと響くとは私たちの足音だけ。このフロア全体に緊張感が走る。
コンコンッ
「失礼します。レオです。」
先輩はそう言うと司令室の扉を開けた。
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