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04.入隊準備
扉を開けた先にはメガネをかけた50代くらいのいかにも「司令官」と呼ばれる人が椅子に座って私たちを待ち構えていた。
「お久しぶりです、司令。」
先輩は言葉こそ丁寧だが、口ぶりや表情からは不機嫌なオーラが漂っている。
「要件はなんだ。」
司令官は私をジロッと睨み率直に尋ねた。司令官が睨んだ時の目の鋭さはどこか先輩に似ており、とてつもない威厳で私の中の恐怖心を煽る。
「本日入隊試験に合格して、これから俺のパートナーとしてペアを組むことになりました。」
先輩がそう言うのに続くように私は深々と頭を下げ挨拶をする。
「リネと申します。よろしくお願いします!」
「…そうか、それはいい知らせだ。」
いい返事が聞こえ頭を上げたが、司令官の顔は笑ってはいなかった。
どうせすぐ辞める。
そう言うような期待などしていないような表情だった。
「それだけなので失礼します。」
そうして私たちは司令官に頭を下げた。先輩は部屋のドアに手をかけ出る時、振り返ってこう言った。
「俺は別に忘れたわけではないですからね。」
それが何を指しているのかはわからないけれど、少なくとも司令官と先輩の関係はあまり良くないことだけは感じ取れた。
「これから6階に行ってお前の銃を選ぶ。」
司令室を出てエレベーターを待っている時、先輩は前を見てそう言った。その顔は何かを懐かしんでいるようで、悲しそうにも見えた。
6階に着くと銃声が何回か聞こえた。私は慌てて音のする方へ向かおうとすると、先輩はすぐさま止めた。
「見てみろ、ここが訓練場だ。」
指さされた部屋には1人1人区切られた小さなブースのようなものがあり、その先には丸が何重にもわたって書かれた的がある。
手前から3番目にいた人がさらに銃を的に向かって打っている。10発ほど撃った後的を見てみると、中心に当たっているのは3発ほどで他の球は大きくずれていた。
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