12. わたしたちの「すき」のゆくえ

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 連絡先を交換しようと思ったら、やっぱり文通ぐらいしか方法がないことに気づいて、いっしょに苦笑いした。  「園田、スマホ持たないのか?」  「……高校で必要になれば買ってもらえる……かも?」  「どれだけ先なんだそれは……」  雪成は少し考えこみ、名案を思いついたように、言った。  「土曜日に、気が向いたらふくろう堂に行くっていうのはどうだ?」  「待ち合わせするの?」  「いや。自分が都合のいい時に行って、ぐうぜん会えたらラッキー。会えなかったらまた今度」  「ええー! ますますめんどうじゃない?」  「めんどうでも、いいよ」  そう言って笑う雪成は、いつもより明るく見えた。
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