はじまり

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 「おはよう...雨じゃなくてよかったな。」  「ジュンさんおはようございます。そうですね、降ってたら今日大変だったと思います。」  今日は一日この畑の野菜たちの収穫作業を手伝うことになっている。  「早速だがそこの白菜たちからおねがいする。」  「了解です。」  ジュンさんはここら一体の土地を管理する地主、今住んでいる家も彼の持ち物で月に一度家賃の代わりに畑仕事を手伝っている。だから家賃分は働かなくてはいけないし、もっと頑張れば少しだが給料や売れない野菜をくれることだってある。つまり自分にとってはもっとも優先させるべき仕事相手ということだ。    薄白い霜を着ている野菜たちは朝の光に照らされて輝いている。畑に足を踏み出すとキュ、キュ、と音がする。今朝は一段と冷え込んだようだ。  「今日は寒いですね。」  手に鎌を持ち今から収穫されていく野菜たちに向けてつぶやいた。  「ああ、昼までには収穫だけでも終わらせたいな。」  聞こえていたのか。こういう何でもないことにも答えてくれるところを気に入っている。だからと言って話好きというわけでもないが。    収穫を終えたのは昼過ぎ。野菜を納屋に運んでいると奥さんが顔を出した。  「ひと段落ついたんだったらご飯にしましょう、お昼が冷めてしまう」  ジュンさんは仕事を始めると熱中してしまうところがあり休憩などせずモクモクと仕事をしてしまう。立場上自分から休憩と言い出すこともできないからいつも奥さんの登場を待っている。彼女も旦那の癖を理解しているためかなり様子を伺いタイミングを見計らっている。ちゃんとしたいい奥さんだと思う。  「キヨ、お疲れ様。早く手を洗っておいで。」  「ありがとうございます。これ運んだらすぐに行きます。」    
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