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僕はラッピングされた箱を取り出した。
「沙耶、これなんだと思う?」
沙耶はかすかに眉を曲げてみせた。
「誕生日プレゼントだよ。あけてみてよ」
沙耶はか弱い笑みを見せてラッピングをゆっくり解きにかかった。僕は嬉しかった。言葉を喋れない沙耶との会話。その表情は優しく静かで、おっとりした顔によく似合っていた。
沙耶は箱を開ける。
喜ぶと思ったけど、表情に一瞬陰りが見えたのは気のせいだろうか?
「ネックレスだよ。いつの間にかなくしちゃったろ。
つけてくれる?」
沙耶は小さく頷いた。
高校3年の秋、ふたりでペアネックレスを買いに行った。
その途中の事件がきっかけで沙耶は言葉を失ってしまった。
僕は20歳になった今でも沙耶が言葉を取り戻してくれることを心から信じている。
沙耶の誕生日は7月7日。7がふたつもついているのだ
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