第二章・ー気付けぬ罪に、罰をー

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 トウジは人間だ。れっきとした、人間……なのに、あの、百戦錬磨のアンダーテイカーが良いように遊ばれている。  相棒が目の前でかつてない程のピンチに陥っているというのに、今回に限ってシェイカーにこの手合わせを止める権利はない。  何故なら自分も同罪だから。  万が一止めにかかれば、たちまちの内に二対一の攻防が始まるだろう。  普通に考えて、数の上ではこちらの方が有利だ。仮にもアンダーテイカーは上級の“昏きもの”で、シェイカー自身もある程度ではあるが、知識もあるし対抗手段も持ち併せている。  だが、それでも今のトウジには敵わないだろう。  ーーちらりと、アニーを横目で見る。  相変わらずスカートの裾を掴みながらも、僅かにでも視線を逸らさずにいる態度からは、この現状を“止める”という気持ちはさらさらないように思える。  と、なると。残る頼みの綱はオフィーリアに他ならないのだが、肝心の本人がダウンしたせいでこうなっているのだから、助けを求めるのは酷な話なのだろう。  そうやってシェイカーがあれこれ思案している間にも、二人の激しい攻防は続いていた。  ずるずると力なく、壁を背にして崩れ落ちるアンダーテイカーに、容赦のないトウジからの攻撃が炸裂する。  ダガーを構え、まずはその場から右手で一閃する。そして、間髪を容れず左手からの二撃。 「……っ!」  骨折のせいで本来の動きは叶わないが、受け切るのが不可能である以上、避けなければいけない。  たったの一撃で早くも悲鳴をあげる身体に鞭打って、立ち上がると壁伝いに横手へと跳ぶ。  真空の刃はそのまま、アンダーテイカーが打ち付けられた壁へと激突する。  途端に、耳をつんざくような激しい音が辺りに響いたかと思うと、刃が当たった壁一面、跡形もなく消え去ってしまったのだ。  ーー跡には、破壊された瓦礫だけが残っていた。
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