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「何だよ?」
「……トウジ、おらへんねんけど……。自分、どこ行ったか知っとる?」
上半身だけ起きつつも、相変わらず酷い頭痛に頭を抱えながらの言葉だ。
すると、そんなオフィーリアを見たラキが、合点がいったような声をあげた。
「何だ。そんな事か。あんたの相棒なら、今頃うちの課長補佐様にヤキ入れてるとこだと思うぜ」
「……は?」
聞き捨てならないワードを耳にした気がして、思わず顔を上げる。
すると、聞こえなかったのかと言う代わりのしかめ面を浮かべたラキが、再び口をひらく。
「だから。あんたの相棒なら、今頃うちの課長補佐様にヤキ入れてる最中だって」
「何やて?」
ラキはトウジの正体を知らないのだから、こんなにも呑気なのは、至極当たり前な反応なのだが、オフィーリアには穏やかでない事態に、またも聞き返してしまう。
「……てめぇ、聞こえてねぇのかよ?」
「否。一応聞こえとる。ただ、現実を受け止めたあらへんだけや……」
それでようやくの事で不審がる表情になるラキに対して、しばし逡巡すると、珍しくへらりと脱力感溢れる笑みを浮かべ、続けた。
「今から言う事、怒らへん言うんやったら教えたるけど……」
「……そうだな。話の内容と、てめぇの態度による……」
そんな、一見して意味不明な提案に、さすがのラキも不穏な空気を感じ取ったのか、端から怒る気満々の返答をするのに、それで笑みを引っ込め、しばらく頭を抱えたオフィーリアが、一旦は顔を上げて視線を向けるがすぐに逸らすと、何かに迷う素振りを見せる。
「一応聞いてやるから早く言えよ」
それで仕方なく、先に折れたラキが、乱暴に頭を掻きながら譲歩すると、途端にオフィーリアが返した。
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