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「あんな。トウジは確かに人間なんやけど、ただの人間やのうて、創世の民の生き残りやねん」
「……何だと?」
今度はラキが聞き返す番だった。
軽く言ってはくれたが、ラキでも知っている。創世の民と言えば、四大霊鬼の力をも凌ぐ化け物級の人間であった筈だ。
それが、よりによってオフィーリアの相棒……? しかも、ラキ自身事情を知らなかったとはいえ、アンダーテイカーに対する鉄拳制裁を許してしまった。
という事は……。
「てめぇ……! そういう重大な事実は、勿体ぶってないでさっさと言いやがれ……!」
「あ、ちょお待て自分。俺まだ気分も状態も最悪やねんから、そないに揺するなや……!」
事態の重さに気付けたラキが、乱暴に胸ぐらを掴み揺するのに、オフィーリアはあくまでも冷静そのものだ。
「はぁ? てめぇがんな化け物級のチート野郎を呼ぶようなヤワな身体のつくりしてっからいけねぇんだろうが」
「いや、せやけどやな。俺の事情知ってて、尚且つ理解して対応してくれる相手、シュバリエかトウジしかおらんねん……!」
「は……!?」
自分でも悪かったと感じているため、特に抵抗もせずされるがままになりながらも、一応は抗議の声をあげるオフィーリアからシュバリエという名が挙げられて、更に非難の声が放たれる。
「おい、そいつの名前も課長補佐から聞いた事あるぞ。現役の四大霊鬼“蒼”だろうが……!」
「えーっと……。まぁ、せやね」
最早胸ぐらを掴んで揺するどころではない。滅茶苦茶激しくネクタイを引っ張られながらの言葉に、ばつが悪そうに返したオフィーリアを、ラキが地獄の底から響いてそうな低い声を出す。
「てめぇ、何だってそんな究極の二択を、よりによってうちの課長補佐様に迫った!」
ラキは完全に怒ってしまっていた。
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