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「う、うーん……。ほんなら聞くんやけど、自分、現役の四大霊鬼“蒼”と創世の民やったら、どっち呼んだら良かったかて、分かる?」
「は? んなもんどっちも呼ばなきゃ良いだろうが。てめぇはうちの大事な課長補佐様を殺す気満々なのかよ!?」
至極当然の答えを返されて、束の間悩む姿勢を取ったオフィーリアが、ちょっとばかりひきつった顔で苦笑する。
「正直俺も、いっぱいいっぱいやったし。意識朦朧としとったねんな」
「それは理解している。あんた、本当に辛そうだったからな」
「やから、今回に限っては堪忍したって」
珍しく下手に出るオフィーリアを前に、しばらく険しい表情で見詰めていたのだが、やがて長いため息を吐くと、乱暴な手付きでネクタイを放す。
「はぁ。全くてめぇは、うちにろくな連中連れてこねぇよな」
「いや。まぁ。はは……。済まん。ほんま。とにかくヴァン助けに行かな。トウジがほんまに怒ってるねやったら、俺が止めたらな収拾つかん」
ベッドから降りようとするオフィーリアをさりげなく手伝ってやりながら、ラキが無言ながらも非難をする目で睨んでくる。
「……絶対止めるさかい、今回はそれでチャラにしたって……」
「俺だって別に、てめぇばっかり責めてる訳じゃねぇよ。話は掻い摘んでしか聞いてねぇが、うちの課長補佐様が全面的に悪かったのは理解ってるしな」
平気そうに見せてはいるが、オフィーリアの顔色は明らかにまだ悪い。
そこのところも配慮したラキが、怒りを引っ込めながら応えてやる。
すると、何度目かの申し訳なさそうな声音で、オフィーリアが言ったのだ。
「ほんなら行こか。ふざけ過ぎたわ。時間はもう、あらへん。早よ行かなヴァンなんか秒で死んでまうで」
そうしてオフィーリアは、ラキを伴い医務室を後にした。
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