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皆が初めて見るトウジとアンダーテイカーの対峙に期待する中、ただ一人この状況が非常にマズいという事を理解しているシェイカーは、左隣に立つアニーに視線を向けた。
アニーはいつものようにおろおろとするでもなく、何故か毅然とした態度でスカートを僅かに掴み、まるで試合の行方を見届けようとしているみたいに思える。
そんな様子で更に心配になり、シェイカーは意を決して話しかけてみた。
「……止めないの?」
声をかけられた事で、栗色の瞳がシェイカーの姿を捉える。
普段は遠慮勝ちに思える瞳の色は、今は何故か強い意思を宿していた。
「止めません。お……コーラルブルー刑事と約束しましたから。ちゃんと見届けるって」
言われて一瞬動作が止まる。
恐らくオフィーリアは、イグレシオン署にくる前にアニーと会話して、そういう約束をしたのだろう。
言葉の力強さから、決意の程が見て取れる。
恐らく事情を把握していながらもオフィーリアを連れ回したせいで、こうなってしまった責任を感じて見守る意味も含まれているのだろう。
シェイカーにとっては初めて気付けたとも言える、アニーの根底に在る“強さ”が垣間見えるのだ。
きっとこの“強さ”は、オフィーリアがアニーを見守り育てていく中で、培ってきたものだと、何故だか素直に理解出来た。
「ムラサメ刑事は、コーラルブルー刑事の意図を汲んで、イレブンジーズ課長に挑んでくれています。……多分ですけど、普通に闘えば、ムラサメ刑事が勝つと思います。でも、私、その前に、イレブンジーズ課長に“気付いて”欲しいんです」
黙ってアニーの話を聞いていたのだが、一部不穏なものを感じて首を傾げる。
シェイカーは以前自らが起こした騒動で、偶然にもトウジの正体を知ったのだが、言葉尻からして、まさかアニーも……?
そう、疑問に思ったところでアニーが見上げてくる。
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