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「私、実は知ってます」
言われてやはり、と納得する。
本来、相棒であるアンダーテイカーを始めとする所謂“昏きもの”達は、人間を契約主として生きる事しか出来ない。
いくら人間の力が強くとも、世間的にはファンタジー世界の住人とも言える、人知を越えた力を持つ吸血鬼には所詮敵わない筈なのだ。
ある程度の抵抗は可能でも、余程の対処と実力がなければ、上級の“昏きもの”には到底敵わない。
なのにアニーは、傍目にはれっきとした人間である筈のトウジを過小評価する事もなく、一応は百戦錬磨で通っている、上級の“昏きもの”であるアンダーテイカーに勝つと断言した。
そこから導き出される答えは一つだーー。
「やっぱり、トウジ君が創世の民の生き残りだって、初めから知っていたんだ?」
「以前、事件の捜査でコーラルブルー刑事達と一緒になった時に、教えてもらいました」
創世の民というのは、主に古代種と称される、れっきとした人間でありながら、“昏きもの”にも対抗出来得る能力を持つ特殊な存在である。
古代種は主に、魔断のもの、古の民、そして創世の民という三つの種族から成ると言われている。
創世の民は、個々が持つ能力の特殊さと辿る運命のせいで、一般には絶滅したと言われている人種であった。
トウジはそんな、創世の民の生き残りなのである。
故に、彼が戦闘にて一度本気を出せば、かなりの度合いで強いのだ。
それなのに普段はオフィーリアの背後に控え、余程の事がないと喋らないし前にも出ないし、終始戦闘のサポートをするに留まっている。
恐らくヴァイス署の誰もが、トウジの闘う姿を知らないし、見た事すらないだろう。
当然の事ながら、戦闘スタイルすら知られていない筈だ。
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