4人が本棚に入れています
本棚に追加
シェイカーもお伽噺の体で少しばかり存在を知っていただけで、本当に目の当たりに出来る日がくるとは思わなかった。
彼らが持つ能力は、最強と豪語しても過言ではない程のものだ。
創世の民は、視界の届く範囲で具現結界と呼ばれる結界を張り、その範囲内で相手の持つ能力や、他の“昏きもの”の持つ能力を具現化出来る記憶具現と呼ばれるもの。
そして術者の“こうなるかも知れない”という思いを忠実に具現化出来る、必然具現という能力とを併せ持つ者だ。
しかも本当に恐ろしい事に、条件さえ揃えば四大霊鬼の能力をも、いとも簡単に具現化出来る。
故に、トウジという存在は、以前から「自分の力で自分の身も護られへんような人間を相棒にするつもりはあらへんな」と公言しているオフィーリアには、これ以上ないぴったりしっくりとくる契約主であるとも言えた。
まさに「味方でいてくれたらこれ以上頼もしい人間はいないが、一度敵になればこれ程恐ろしい相手はいない」を地でいく相棒でもあると言えよう。
だからシェイカー自身、オフィーリアの口から聞いた事の意味を、今更ながら理解した。
陰契課の刑事でありながら、捜査には積極的に参加するのに、いざ“昏きもの”との戦闘に入ると、それが当たり前であるかのように、すっと皆のサポート役に回り、徹するのは何故かと疑問に思って聞いてみたのだ。
するとオフィーリアは、少しばかり驚きの表情を見せた後に、困ったように言葉を選びながら応えてくれた。
「多分で、トウジに戦闘させたら誰も敵わんし。例えば俺らが束になって止めたかて、秒で殺られるさかい。……トウジはあのままで、それで良ぇねん」と、それだけだったが、今ならば物凄い勢いで納得出来た。
そして、非常に間の悪い事に、オフィーリアとの一件でトウジは怒り心頭に達している。
最初のコメントを投稿しよう!