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 音の正体が何も分からないまま、ただ心はもやもやと曇っていく。  天気は晴れていても、嫌いだった筈の雨、雨、雨、雨に心の曇りを洗い流して欲しいと、いつの間にか好きになっていた。  繰り返す日々を書き留める、そんな事は考え付かなかった。繰り返すから、書き留めるまでも無かったから書かなかっただけかもしれないし、ただ面倒くさかったから何もしなかったかもしれない。 * * * 「──隣、座っても良いですか?」 「ぁ……、どうぞ」  物思いに耽っていたら、知らない女性の声が耳に入った。  通りすがりの人が私の隣にお邪魔して来た様だ。私はベンチの余りスペースを譲った。  思いがけない来訪に私は「何か話題を探らなくては……」と、思い付く限りのよくある会話フレーズから必死に脳内のページを捲る。
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