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最終兵器の様な絶対的な答えは見つけ出せない。
そんな時に何となく感じ取ったのは、空の薄暗さだった。いや、直感的に感じ取ったのは“匂い”からであって、それからが空の薄暗さだ。覚えのあるこの匂いはきっと……
久し振りに晴れたのに、通り雨だ。
でも謎の音の正体や、お隣の人にどんな言葉を掛ければ良いのかが分からなくて、もやもやした心を洗い流して欲しいと。雨、雨、雨、雨と木霊する様に意識するくらいなら、なんて事ないだろう。
「……もう直ぐ降るそうですよ」
お隣にそう言って、私はベンチから退場する。
その時のお隣の顔は見ていない。きっと鳩が豆鉄砲でも食らった様な顔でもしていたのかもしれない。
繰り返す日々を書き留める、そんな事は考え付かなかった。繰り返すから、書き留めるまでも無かったから書かなかっただけかもしれないし、だけど今の情景を忘れたくないから書き留めるよ。
七月を迎えるまでは只管、繰り返す。
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