フィラメントに流す好奇心

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   おばあさんに言われた通りに、雨音がたっぷり詰まったたくさんの豆電球をそうっとそうっと丁寧に買い物カゴの中に入れていく。次第にずっしりと重くなるそのカゴは、さっきまで私たちが楽しんでいた分の重さだった。 「おばあさんはすごい人なの?」 「なにさ、急に」 「だってこんなふうに雨音を集める機械とか豆電球とか、作れるのすごいなって思って」 「……そうだねぇ、まあね、今はこんなんだが昔はまあまあ凄かったんだけどね。今じゃただのボロ屋敷の家主だよ」  おばあさんはそう言うと、口角をにっと上げて笑ってみせた。きっとそれは、おばあさんの精一杯の皮肉だった。 「おばあさん、私またここに来てもいい?」 「ボロ屋敷には近寄るなと言われてるんじゃないのかい?」 「でも」 「まあ、好きにしたらいいさ。けど」 「けど?」 「来る時は雨音を持ってくること。それが条件だ」  手渡された小さな集音器といくつかの豆電球。手のひらに積まれたその機械たちの意味を理解するまでに少し時間がかかった。そして、やっと気づいたその行動の嬉しさにぱっと顔を上げると、おばあさんはまた後ろに手を組んだままそっぽを向いていた。 「ありがとう、おばあさん!私また絶対来るから!」 「好きにしな」
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