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ネットだと情報が多すぎて選ぶの大変だと思ったから、本にしたのだが。
何か不満なのだろうか?
けれど、あの表情には既視感を感じる。
「なぁに?何かまた考えてるのー?」
パタンと本をとじ、後ろを振り返った。
「いや、もし結婚式挙げるとしたら、彼女の親族は呼べないんだよなと思って、、、それって普通じゃないよなって」
「別に大きな結婚式挙げなければ、呼んでも構わないでしょ。まぁ、彼女方の親戚たちは楽しめる空気でないだろーけど」
何回かに分けて披露宴するしかないわよ。
お金もたくさん動くし、経済まわしましょーと軽く笑ったが、どこか心配そうにしている。
結局、ナギたんは自分に自信がないのよね。
彼女のことになると、なんでこんな弱気になっちゃうのか。
そう思うと、やっぱりあのクソガキちゃんは脳天気でいるし、肝が据わっているんだなと思った。
いや、何も考えてないかも。
極道のことさっぱりだものね。
「やっぱり、結婚しない方が彼女のためかな」
「じゃあ、他の男に寝取られても文句ないわよねー」
意地悪したくなるのは、ウジウジしているせいだ。
野木はぎゅっと瞼を閉じて、ひたすらに頭を悩ませている。
まだ迷ってるのね。
彼女との結婚に踏み切れる自信か。
この世界にいると、そんなパートナー見つけるのって、本当困難極めるわよね、、、。
幸せにしてあげたい反面、不幸にする環境が自分自身だし、矛盾してる関係だこと。
一緒にいることだけが最適なわけじゃない。
ちょうど良い距離感というのも存在する。
カタギの世界では結婚がベストだろうけど、アタシたちにしてみれば、結婚はベストではない気がするわね。
どうする?渚。
しかし、それは突然決まることになった。
ホテルに戻った時、彼は絶句していた。
「緊急避妊薬、、、飲んだの?」
仲良さそうに話し込んでいた水飼とクソガキちゃんが笑顔で出迎えたあとのことだ。
部屋の扉口前で、花束を持って待機していたら、そんな不穏な気配のする声が聞こえてきた。
真っ赤な薔薇の花束をプレゼントされたいという特集ページを見て、一等級品の薔薇を108本、ホテルの方で手配してもらっていた。
「水飼さんから極道について色々聞いたの。
野木くんが結婚に対して後ろ向きなのも、やっと理解したよ。私の考えが浅はかだったんだね。
ごめんなさい。だから、さっきちゃんと飲んだよ」
胸の奥がざわついた。
これは、だめなやつだ。
嫌な動悸が駆け抜けていくように、どくどくと音を立てた。
あのバカ女っ!!!
いや、違う、あの子は騙されてるだけだ。
咄嗟に薔薇の花束を投げ打って、部屋に飛び込んで行ったが、ナギたんの方が早かった。
「なぎさっ!!!!」
美しい夜景の広がる窓の前で、ナギたんは水飼の顔面にありったけの力を込めて殴り込んだのだ。
「野木くん?!」
彼女の悲鳴と、再び拳を振り上げた彼の声が交差した。
「余計なことをっ、、、!!!」
椅子に座っていたのか、椅子ごと倒れている水飼の上に馬乗りになって、数発殴ったところを止めに入る。
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