あなただけは私を許してくれるー

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あなただけは私を許してくれるー

かつて私は「声無しの人斬りと呼ばれた女」だった 裕福だった私の家は、毎日、笑顔が耐えなかった。 だが、そんな幸せな生活は突然、幕を閉じた。 ある日、私の住む屋敷に泥棒が入った 黒い服に身を包んだ謎の人間共が私の手を強く引く 異変に気づき、私を取り戻そうとした母の手は私の手と触れる寸前で引き離されてしまった 私の姿を見つめながら大声で叫ぶ母 敵の銃弾に貫かれて聞くに堪えない声で叫ぶ姿が頭から離れなかった そんな、母の最期の叫びを聞いてしまった私はそれからというもの、声を出そうとすると体中が震え上がり声を出すことができなくなってしまった 私はさらわれてからは奴隷のように扱われた。母に似て華奢だった手も、美しい肌も薄汚れて傷だらけになってしまった 奴隷生活を始めて数年、過酷な試練をいくつかこなしていくと、私は人の暗殺を頼まれるようになった はじめは、何度も母を思い出してしまい暗殺に失敗をしていた。 だが、ある時、私の親戚と名乗るおばさんと出会った時、私を「人殺し」呼ばわりしたのだ 母は私を守るために死んだのにー 私は何もしていないのにー 何も知らないヤツに何がわかるー 私はその人間を串刺しにしてしまった 私は、私の色を忘れてしまったー それからというもの、人を斬るたび、薄汚い色に染まった心に、鮮やかな赤が混ざり込んできて、更におぞましい色へと変わってしまう 私の色はこんなにも汚れてしまったのかー そこにぽつりぽつりと無色透明の雨が降り注ぐ それは、たちまち薄汚い赤を私の色へと取り戻させてくれるのだ あなただけは私が色を出すことを許してくれるのかー もし全てが許されるならー こんな私を許してー 許してー 私の色に重なる赤色に耐えきれなくなり、心の底から声が溢れ出す 私を独りにしないで…! すると無色透明の雨が、私の心の鼓動に反応し、激しい雨音を鳴らし始める その音はまるで私を許してくれるようだった この雨だけは私を許してくれるのかー 激しく歌い続ける雨音の中 女は雨と共に色濃く叫んだ
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