Case 05 対峙

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 「私と理くんが離婚すれば、正式に片付く問題ではあるんですけどね。」  「矢張りそうなりますか。じゃあ、離婚すればいいじゃないですか。」  「そういう訳にもいかないんです。私と理くんは長い付き合いだし、今更離婚とか考えてもいません。もうすぐ子供が小学生になりますからね。今どきの小学生はカネがかかりますから。」  「ですよね・・・。」  「唐突に聞きますが、もしかして、私を殺そうと思ったりしていませんよね?」  「それは・・・。」  正直、私は由依さんに殺意を抱いていた。けれども、人を殺すことは犯罪だ。況してやせっかく仲良くなった女優仲間を殺すわけにはいかない。  しかし、私の中の黒い衝動が芽生えようとしていた。その黒い衝動は、やがて由依さんへの殺意へと変わろうとしていた。  私は、持っていたナイフを由依さんへと突き出す。  「ちょっと、優華さん!?」  「ごめんね。矢っ張りあなたには死んでもらおうと思って。」  「アレって女優の月島優華と星野由依だよな?」  「2人で言い争いとか、何があったんだ?」  私のやろうとしていることに、当然野次馬(やじうま)はざわつく。  「月島優華はナイフを持っているぞ!」  「拙い!兎に角警察を呼ばなければ!」  そんな声も聞こえる中、私は由依さんの胸にナイフを刺した。  一瞬の静寂(せいじゃく)の後、誰かの悲鳴が聞こえたような気がする。  当然、由依さんは意識を失っていた。  私がやったことは、悪いことだ。警察に捕まってもおかしくない。  やがて、救急車とパトカーの赤灯が見えた。  私は逃げようと思ったが、躰が上手く動かない。  人を殺したから当然だろう。  そして、刑事さんが私の腕に手錠をかける。  「月島優華、殺人の現行犯で逮捕する。」    ――私は、殺人の疑いで現行犯逮捕された。
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