Case 04 授かってしまった命

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Case 04 授かってしまった命

 あれから、ドラマの撮影も終盤に差し掛かっていた。  しかし私は体調不良に悩まされていた。  吐き気、倦怠感、体の震え、イライラ・・・。スタッフからも心配されてしまうレベルで私の体は不調をきたしていた。  「優華さん、大丈夫ですか?」  「だ、大丈夫・・・。」  「とても大丈夫そうには見えない。一度病院に行ってみたらどうだ?」  「分かりました・・・。病院へ行ってきます。」  病院で検診してもらったところ、私は産婦人科へ行くことを勧められた。それがどういう事かは分かっていた。新しい命を(さず)かったのだろう。  もちろん、女医さんの答えは明確なものだった。  「月島優華さん、おめでとうございます!赤ちゃんがお腹の中に居ます!」  「そうですか・・・。」  「嬉しそうじゃないですね?何かあったのでしょうか?」  「実は、その・・・。不倫でセックスして授かった命なんです。」  「あらまぁ・・・。」  あの一夜が、真逆私の躰にもう一つの命を授かってしまうとは思ってもいなかった。これが由依さんにバレたら大事だ。  私は話を続ける。  「それで、不倫の相手が星野理さんなんです。」  「星野理って、あの俳優の星野理!?」  「そうです。最近世間を騒がせているゲス不倫騒動があるじゃないですか。私、そのゲス不倫の当事者なんです。」  「そうだったんですか・・・。カルテの名前に『月島優華』って書いてあったから、真逆とは思ったんですが・・・。」  「だから、この命は授かってしまうべきではなかったんです。」  「それなら、()ろすこともできますけど?」  「でも、命を授かってしまった以上責任持って出産まで漕ぎ着けたいんですよ。」  「ですよね・・・。」  私は、別の意味で悩んでいた。  このまま堕ろして妊娠を無かったことにすべきか。  イメージダウンを覚悟で出産をすべきか。  とりあえず、理くんに全てを打ち明けることにした。  「あの時のセックスが切っ掛けで妊娠した!?」  「そうなんです。ゴムを着けていた筈だったのに妊娠したんです。」  「そうか・・・。僕が悪かった。」  「もしも私の妊娠が由依さんにバレたら大事です。私はどうしようもありません。」
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