Case 04 授かってしまった命

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 「そうか。僕がなんとかすべきだろうな。とりあえず、この事は誰にも内緒にしておけ。ドラマのスタッフにも『ただの体調不良』であることを伝えておく。」  「ありがとう、理くん。」  「ああ、優華は僕にとって大切な人だ。でも、由依はそれ以上に大切な人だ。それは分かっている。」  こうして、私の妊娠は無かったことにされた筈だった。  しかし、私の秘密はいとも簡単に破られてしまうことになる。  その夜、私はたまたま動画サイトを見ていた。  猫の動画でも見て癒やされようと思っていたのだ。  しかし、トップページのサムネイル画像、そして動画のタイトルを見て私の背筋は凍りついた。  【日本アカデミー賞受賞俳優と売れっ子女優が不倫で妊娠!?】  私は、恐る恐る動画をクリックする。  「これは秘密事項なんだけど、星野理と月島優華のゲス不倫で月島優華が妊娠したらしい。当然、星野理の妻である星野由依はカンカンに怒るだろうな。これは週刊誌にも載っていないスクープだ。」  ネット動画で、私の妊娠がリークされていた。リークしたYouTuberは見覚えのある顔だった。『逃げるは勝ちだが役に立たない』のアシスタントディレクターを務めている万丈忍(ばんじょうしのぶ)だった。  万丈忍は私に常に寄り添っているアシスタントディレクターだ。当然、今回の体調不良を真っ先に見抜いたのは彼である。しかし、動画サイト上にリークされた以上世間の目は冷たいものだろう。最悪の場合、ドラマは打ち切られるか私の降板は避けられない。  どうすればいいのだろうか。私は頭を抱えていた。  その時、スマホに着信がかかってきた。電話の主は星野由依だった。  「優華さん、私の夫に手出ししてませんよね?」  手出しをしてきたのは理くんの方なのに、なぜ私が疑われなきゃいけないのだろうか。それが分からなかった。  「優華さん、あなた、妊娠しましたよね?」  「なぜそれを知っているんですか?」  「例の動画にリークされていました。もちろんあなたの不倫も一緒に。」  由依の言葉に、私は反論できなかった。  「明日、一度会ってみませんか?もちろん理さんは抜きで。」  「わ、分かりました・・・。」  ――厭な予感を感じつつ、私は由依と会うことにした。
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