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講義室に着くと、既に席に座っていた咲良が手を振って呼んでいた。
咲良も陽向と同じ幼なじみで、親友でもある。
咲良の横に美雨が座ると、その隣に当たり前ように、ドカリと陽向が座った。
「おはよ。相変わらず2人でいるのね」
咲良は、キュッと唇を上げると、えくぼを目立たせて笑う。
「たまたまバスが一緒だっただけだよ」
美雨は眉尻を下げて困ったように笑って陽向を見ると、聞いてないのか、素知らぬ顔をしている。
「まぁ、それはそう言う事で良いよ。それより、今日の夜の同じ学科の親睦会行くでしょ?」
咲良は、同じ学科の全学年が集まる親睦会を楽しみにしていた。
「どうしようかな?」考えようとしている美雨に咲良が「あっ!2人も参加にしておいたから」
既に出席するで連絡したよと、ドヤ顔でサラリと言われてしまった。
「もう……」
こういう事には、行動が早い咲良に苦笑いした。美雨は、陽向の耳元で小さな声で聞いてみる。
「陽向も行くよね?」
「うん、行くよ。俺も居るから大丈夫」
陽向は、美雨を安心させるように、美雨の頭をくしゃくしゃと撫でた。
美雨は、人が多い集まりが苦手で陽向も行くと聞いてホッした。
────
親睦会も後半に差し掛かり、お酒の飲める先輩方々は酔いが程よくまわっている。
美雨と咲良は隣に並んで座っていて、ソフトドリンクを飲んでいた。
陽向は、斜め向かいの席で隣に座った同級生の女の子に話しかけられていた。女の子のボディタッチに平気そうな陽向。
美雨の心が細かい泡のように波立つ。美雨の視線を感じたのか、陽向と目があった。
美雨は慌てて視線を逸らして咲良の方を向くと、咲良も見ていた。
「陽向は、女子に意外と人気あるんだよね」
陽向は、かっこいいからモテても可笑しくない、彼女がいないのが不思議なくらいだ。
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