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親睦会の次の日、美雨と陽向と咲良と咲良の彼氏と4人で学食に来ていた。美雨の隣は陽向で、美雨の向かいに咲良と彼氏が座る。
「昨日は、大丈夫だった?まぁ、陽向が付いてるから心配はしてないけどね?」
咲良は、美雨を揶揄うように微笑を口角に浮かべる。
「昨日は、ごめんね」
恥ずかしそうに顔をほんのり赤くさせて笑った。
誰かが美雨達のテーブルの脇で立ち止まった。
美雨がふと、顔を向けると智也先輩が立っていた。
「智也先輩……」
「美雨ちゃん、昨日は大丈夫だった?」
爽やか笑顔で、智也先輩が話かけながら、さりげなく美雨の向かいに座った。
「大丈夫です。ご心配かけました」
昨日の失態を思い出し、小さい体をより小さくさせる。その可愛い姿にクスリと笑いながら、陽向へと視線を投げかける。
陽向は、2人の会話を気にする様子もなく、スマホをいじっている。
「陽向くんも大丈夫だった?」
智也先輩が陽向に声をかける。
「いつもの事なんで……」
スマホを見ながら答えた。
陽向の素っ気ない態度に気にもせず、智也先輩は話を続けた。
「もしかして……陽向くんは、美雨ちゃんの彼氏だとか?」
彼氏と言う言葉に、間一髪入れず美雨が
「陽向は、幼なじみなんです」
あわわと焦りながら違います、と手をブンブンと左右に振り、大きな声で答えた。
美雨は、陽向の冷たい風が吹くような視線を感じる。その視線に、あはは、と気まずいのか眉を下げて笑って誤魔化した。
「そうなんだ、じゃあ……美雨ちゃんには、今は彼氏がいないの?」
「あっ……は、はい……」
「だったら、僕が彼氏に立候補しようかな?」
智也先輩は、涼しげな瞳で美雨を見つめた。
「そんな、私が先輩の彼女とか……釣り合わないです……」
「美雨ちゃんは、魅力的だよ。でも、お互いの事を分からないとだね。じゃあ、友達から始めようか。うん、そうしよう」
あたふたして、断わろうとしている美雨に
「考えておいて」
柔らかい眼差しで美雨を見ると、颯爽と立ち去って行った。
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